気象予測もままならないのに、気候変動の予測は信用できない
科学的知見...
気象はカオス的なので、長期的予測は難しいです。しかし、気候はある程度長い期間の気象を平均したものなので、カオス的な要素が最小限に抑えられ、コンピューターモデルの適用力がより十分になります。
…近代コンピューターモデルは2週間後の気象予測もままならないのに、どうやったら私達は100年後の気候予測が信用できるのでしょうか?無理です!それにもかかわらず、アル「炭素クレジット」ゴアは一般人にモデルの性能を押し売りしている。水晶占いの方がまだマシです。(Kowabunga)
上記の懐疑論は気象と気候の違いに大きな誤解があります。ジャンケンの勝敗は一つ一つ予測できないが、ジャンケンを何回も行えば統計的性質を見出す事ができます。これを気象用語で言えば、嵐一つの正確な道筋は完璧に予測できないかもしれないが、地方の平均温度や降水量は長期間でも変わりません(外部強制は除く)。
気候予測は複雑で日々洗練される技術です。例えば太陽の活動を上手く予測するのは難しいです。同様に、エルニーニョ現象や火山噴火など短期動揺をしっかりモデルするのも困難です。それにもかかわらず、気候学者は気候変動の主因を把握しています。
ジェームズ•ハンセンの1988年気候予測
1988年にジェームズ•ハンセン(James Hansen)は将来の気温傾向の推定を出しました(Hansen 1988)。この初期の推定と現在の観測の一致は顕著です(Hansen 2006)。ハンセンは大きな火山噴火をも推定していました(4年の差異はあったが)。
図1:ハンセンのモデル予測(緑、青、紫)と観測(赤、青)。
ハンセンのシナリオB(CO2排出が現状に一番近いシナリオ)が観測された気温と一番一致します。実際のCO2排出量はハンセンのシナリオBよりも5~10%低いので、実際の相関はもっと近いです。年々平均からの偏差はあるが、全体的の傾向は予測可能です。
ピナトゥボ山噴火の気候モデリング
1991年にピナトゥボ山(Mount Pinatubo)が噴火した時、気候モデルの性能を試す良い機会となりました。噴火によって大気中に注入された硫酸塩エアロゾルが気候にどんな影響をするか予測しました。モデルは噴火後に起こった0.5℃の冷却を正しく予測しました。その上に、水蒸気、力学的、放射フィードバックも経験的に実証されました(Hansen 2007)。
図2:地球気温の観測と予測値。緑が気象台からの観測、青が陸と海洋の温度、赤が平均モデル予測値(Hansen 2007)。
IPCC予測と観測との比較
2001年のIPCC予測と地球の気温変動を比較した研究があります(Rahmstoorf 2007) 。
図3:グラフはTaminoより:青の実線と赤線はそれぞれGISSとHadCRUのデータ、破線はIPCCの予測。
グラフを見てすぐ分かるのが、IPCCの予測は観測よりも低く見積もっています(ただし信頼区間内)。この研究はいくつかの原因を挙げています。一つは、短期間で可能な本質的内部変動性。もう一つはCO2以外の強制(例えばエアロゾルの冷却効果)。
三つ目の候補は気候感度の過小評価。IPCCは気候感度の平均を3℃とし、信頼区間を1.7℃~4.2℃(上図の灰色)との結果を出してます。しかし、多数の正のフィードバックの理解は乏しく、IPCCのモデルでは包含されていません。それ故、 モデルの不確実性は本質的に右に偏る事になります。IPCCの2001年予測について…
モデルの予測と復元が成功した他の例
- 成層圏の寒冷化
- 対流圏下部、中部、上部の温暖化
- 海面の温暖化(Cane 1997)
- 海洋貯熱量の傾向(Hansen 2005)
- 入ってくる日光と出て行く紫外線放射によるエネルギー収支バランスの崩れ(Hansen 2005)
- 北極圏の温暖化傾向の増幅(NASA observations)
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Translation by apeescape, . View original English version.
懐疑論...